昭和29年、田園風景が広がる高知県安芸市に一軒の診療所が開業しました。自宅併設の小さな木造家屋で始まった楠目内科。院長の楠目勲は寝る間も惜しんで診療を続け、次第に増える患者さんを受け入れるため幾度の増築を繰り返し、19床を抱えるまでになりました。
建築と庭づくりが好きな院長は、診療時間中も暇さえあれば外に出て草木の手入れをし、こだわりの建物を大事にしていました。晩年は病に倒れ、呼吸器をつけながら最期まで診療を続けましたが平成12年の冬に他界、同時に楠目内科も46年の歴史に幕を下ろしました。
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